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ビデオ「RETURN OF THE BRECKER BROTHERS」を見直した。 [音楽とか楽器とか]

マイケルブレッカー死去の件に関していくつかコメントを頂いていますが、この記事でもってコメントへのお返事とさせていただきたく思います。


マイケル・ブレッカー死去のニュースを知ってからからおおよそ1週間。

当たり前の事なのだけど、別に私の日常が変わることはない訳で。 ただ、彼のファンとして残念だと悲しむ、それだけ。

彼のエレクトリックバンドでの演奏が大好きだった。


部屋のラックに置いていたビデオ「RETURN OF THE BRECKER BROTHERS - リターン・オブ・ブレッカー・ブラザーズ」を改めて見てみた。 これは 1992年にブレッカーブラザーズ名義で同名のアルバムを発表した後に同年1992年に、スペイン・バルセロナで行われたブレッカーブラザーズバンド名義のライブのビデオ(1993年発表)。 マイケル・ブレッカーの姿が納められた市販品映像としては私が持っている唯一のもので、エレクトリックバンドの演奏、EWI 演奏の姿が収められた貴重な映像だ。

メンバはマイケル・ブレッカー(ts,EWI),ランディ・ブレッカー(tp),マイク・スターン(g),デニス・チェンバース(ds),ジェームス・ジーナス(b),ジョージ・ウィッティ(kbd) のアルバム製作のメンバ5名。 収録曲は下記。

  1. ABOVE & BELOW
  2. SPHERICAL
  3. SOME SKUNK FUNK
  4. COMMON GROUND
  5. SONG FOR BARRY
  6. (ending) INSIDE OUT

このビデオはただライブが収録されているのではなく、ステージの前に別に収録したランディとマイケルのコメントが収録されている。


冒頭ではバルセロナの町を...パンフレットを読み上げながら紹介するランディと、その兄ランディと10年を経て再びブレッカー・ブラザーズとして演奏できる喜びを語るマイケルの姿。

ステージは「ABOVE & BELOW」からスタート。 アルバム「RETURN OF THE BRECKER BROTHERS」の4曲目に収録されているこの曲は、アルバムでは分厚いドラムとベースをバックにマイク・スターンのクリーントーンなギターから始まるけども、ステージではランディとマイケルの軽い掛け合いから始まった。 後はあのリズムでスリリングなテーマに続いてソロ回し。 まずは縦横無尽に駆け抜けるランディのソロに続いて、どこか浮遊感を漂わせるジョージ・ウィッティのキーボードサウンド。 マイケルの吼えるようなサックスに続いてデニス・チェンバースの空間を埋め尽くすドラムソロ。

2曲目の前にマイケルのコメント。 初めてプロとして兄ランディと演奏した 19歳の時、ランディの初アルバム「スコア」だったと振り返るマイケル。

2曲目はやはりアルバム「RETURN OF THE BRECKER BROTHERS」から「SPHERICAL」。 基本8分跳ねのリズムの中にタイトな4分3連をはめ込んだテーマの妙を楽しむ曲だ。 この曲では分厚いリズム隊をバックにマイク・スターンがソロを取る。 クリーントーンで跳ね回った後に切り刻むようなオーバドライブ・サウンド。 泣くようなピッキング・ハーモニーはロックの雰囲気。 続くランディはエフェクタを使ったアプローチで空間をゆがめ、マイケルのサックスは音色豊かに真正面から吼える。

ランディによるバンドメンバ紹介コメントを挟んで3曲目はお馴染みの「SOME SKUNK FUNK」。 ナチュラルな音のマイケルに対してイントロからランディのエフェクタを使ったエレクトリックサウンドは全開。 そしてマイケルの音があふれほとばしるソロが始まれば、反応するデニスとジェームス・ジーナスも16分音符で埋め尽くす。 曲は激しくもスリリングになりつつ、ランディはソロでもエフェクタ全開のハーモナイザを使った一人アンサンブル。 動きを聞き逃さぬようマイク・スターンとジェームス・ジーナスがランディに向いて立ち、ステージ上では終始目をつぶって演奏するマイケルもランディに視線を送る。

次はマイク・スターンのリーダ作から4曲目、静かなバラードの「COMMON GROUND」 ランディのミュートトランペットがもの悲しげにささやくテーマから始まり、抑揚のついた豊かで太い音色で後を追うマイケルのテナーサックス。

最後の曲はアルバム「RETURN OF THE BRECKER BROTHERS」の1曲目を飾った「SONG FOR BARRY」。

ラテンフィーリングなファンクスタイルのこの曲は、アルバム収録版ではソプラノサックスの音色とフルートのように空気を感じる音色の EWI によるユニゾンで構成されたイントロから始まる曲だ。 しかし、このライブではマイケルの EWI ソロから始まる。 「SONG FOR BARRY」のイントロのリフからロングトーンを伸ばし、そのままシンセを重ね...マイケルのソロアルバム「Don't Try This At Home」収録の表題曲「Don't Try This At Home」のイントロそのままの雰囲気をもった、EWI の音源によるハーモニー音を使ったひとりアンサンブル。 続いて叩き込むディストーションサウンド。 そしてようやく「SONG FOR BARRY」のイントロへ。

ビデオを始めて見たときにビックリしたのは、マイケルがストラップから EWI を外してスタンドからテナーサックスを取るとき、左手でサックスのネックだけを握り、そのまま持ち上げた事。 怖いよーw あと、最初のテーマの後にマイケルの短いソロパートが始まり後半でリフとの掛け合いになる箇所。(アルバム収録版だと 2:25 辺り) あのランディのシャウトが突然入ってくる箇所。 ライブだとランディはトランペットをクルリとまわして、ベルに取り付けたマイクに叫んでるのねw ある意味萌えるw

イントロの後はあの特徴的なテーマが始まる。 ソロパートではステージ前方に出てきてブロウしまくりなマイケル。 ソロパートの後は再び EWI を持って再びあのテーマへ。 ここで EWI だけ時折3度上を吹いているように思うのだけど、指使いを見てると演奏で変えてるのではなくて機材操作でシフトしているような...気のせいかもしれないが。

コーラスエコーがわずかにかかったような音色のランディのソロパートの後はマイク・スターンのギターソロ。 前半はクリーントーンで優しく、後半はオーバドライブで叫びまくるといういつものパターンw だけど、分厚く固めるジェームス・ジーナスのベースと16分で踏みまくるデニス・チェンバースのバスドラの音が気持ち良い。

ステージ演奏はそれで終わり、後はツアーのオフショットを交えてエンディングロールでビデオは終わる。(曲は INSIDE OUT)


「SONG FOR BARRY」の演奏の前。 マイケルがステージ上でマイクを持ち、この曲は友人であるトロンボーン奏者バリー・ロジャース、アルバム「RETURN OF THE BRECKER BROTHERS」製作前の 1991年に他界した彼へ捧げた曲だと紹介した。

確かこの曲は彼がよく使ったリフを使っている、と何かのインタビュー記事で読んだ記憶がある。 (トロンボーンのフレーズなら、やはりあの前小節を8分で食って、かつ16分後で刻んだテーマリフだろうか?)

失ってしまった人の事を想い、何かを捧げる事が出来るのも生きているからこそ。

そのマイケルも逝ってしまった。

失われたものは本当に大きいけど、彼のファンとしては彼が気力と体調を得て最後にアルバムを製作し残してくれたことを喜ぶべきかもしれない。

ここしばらくのマイケルはアコースティックジャズのフィールドで活動していたけど、AKAI EWI 4000s を手にして色々と試していたとの話しはあった。 ウィンドシンセの先駆者としての側面もあった彼は EWI の音を残してくれたのだろうか...


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